『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅたったつのときはちかづく⑧

P32L3 一の谷からこの里まで健脚をほこるものでも丸(まる)四日、早足が自慢の伝令使(でんれいし)でも優(ゆう)にあしかけ三日は要する行程だ。 けんきゃく【健脚】(その年齢の普通の人より)足の力が強く、よく歩けること(様子)。「-を誇る/-…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅたったつのときはちかづく⑦

P31L14 キリヒトの背にひと包みの背嚢(はいのう)、先生には襷(たすき)にかけた風呂敷(ふろしき) ここは「襷(たすき)」です。 「たすき」と聞いて思い浮かべるのは、箱根駅伝の「たすき」でしょうか。あるいは、選挙の時、候補者が自分の名前を太…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく⑥-2

P31L10 自分用には柄のところが太く膨らみ、体重をあずけるのに向いている櫟(いちい)の根を削り出したものを選んでいた。 えー、「櫟(いちい)」の謎の寄り道です。 奈良女子大学大学院人間文化研究科の文化史総合演習成果報告というHPで公開されてい…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく⑥-1

P31L10 自分用には柄のところが太く膨らみ、体重をあずけるのに向いている櫟(いちい)の根を削り出したものを選んでいた。 えー、「櫟(いちい)」です。はじめは「根を削り出したもの」というところに引っかかったのです。竹の根=地下茎ですね=を使…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく⑤-3

P31L6 先生は竹筒に水を満たして栓をすると、三人分をキリヒトの背嚢に持たせた。 「竹」です。 ちょうどこんな感じでしょうか。 タケは「温暖で湿潤な気候」を好む植物だそうで、赤道を中心に、だいたい南緯も北緯も40度付近までに分布しています。「…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく⑤-2

P31L4 キリヒトはすでに昨晩から用意してあった背嚢(はいのう)に、着替えと僅(わず)かな生活の道具と・・・ 引き続き「背嚢(はいのう)」です。さて、キリヒトが背負ったのはどんな形のものだったのでしょうか?「背嚢」で図像検索をすると、軍隊で…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく⑤-1

P31L4 キリヒトはすでに昨晩から用意してあった背嚢(はいのう)に、着替えと僅(わず)かな生活の道具と・・・ 「背嚢(はいのう)」です。嚢(のう)は「袋(ふくろ)」、つまり「背負う袋」ということです。そうか、リュックサックだ! 何か、ちがう、…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく④

P29L16 「タイキ様は息災(そくさい)でいらっしゃいますか」 先生の言葉です。 そくさい【息災】(「息」はやめる意)①(仏教で)災難を防ぐこと。②無事なこと。『新明解国語辞典』 「おげんきですか?」ということですね。「息」に関してもう少し詳し…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく③

P28L13 「王宮、図書館付きのロワンと申します」 ロワンの名乗りです。しかし、この直後P28L16では「王宮付きの役人」と書かれ、巻頭にある「主要登場人物」には「図書館付きの役人」となっています。 この国の組織がどうなっているのまでは知りよう…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく②

P27L16~ 少年の後ろに結(ゆ)った黒髪にはやや癖があって後(おく)れ毛がうなじに巻いている。よく日に焼けた黄褐色(おうかっしょく)の肌に艶(つや)があり、丸い額(ひたい)が張り出して賢(かしこ)そうだった。眉間(みけん)の広くひらけた額…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく①-2

P26L10 ほどなく膝まである黒いローブを胸元(むなもと)にかき合わせた背の高い四十(しじゅう)がらみの男が、脚絆(きゃはん)をつけた革(かわ)の長靴(ちょうか)で・・・ 「脚絆(きゃはん)」です。 旅行や作業などのとき、脛(すね)にまとい、…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく①-1

P26L10 ほどなく膝まである黒いローブを胸元(むなもと)にかき合わせた背の高い四十(しじゅう)がらみの男が、脚絆(きゃはん)をつけた革(かわ)の長靴(ちょうか)で・・・ この山里から峠をこえた所に「一の谷(いちのたに)」という都市があるこ…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑬

「キリヒト」について① P20L13 「この里のもんじゃないもの。先生も、お前も」(黒石) P21L3 「先生だって、ありゃただの炭焼きじゃない」(黒石) P22L3 「キリヒトはすぐには戻ってこない。戻ってきた例(ためし)はない」 (親方) この二人の…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑫

P17L14 まだ若いのに世に知られるこの鍛冶場(かじば)の二番鎚(にばんづち)をつとめる「黒石(くろいし)」は、 まず「黒石」です。 全編中でこの冒頭の部分でしか登場しません。そういう扱いをされているのは「黒石」と、装丁職人として名前だけが出…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑪

P16 L7 だがこの炭は窯を預かる交代の炭焼きに託していく。 L13 ここ山の里では、古から山賤(やまがつ)として知られる民が、ながらく鉄と石と炎をめぐる生業(なりわい)を営(いとな)んでいる。 キリヒトは単独で炭焼きをしているのではないようで…

『図書館の魔女』勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑩

P14 L15 任(まか)された炭焼き窯(かま)の、最後に火を入れた一本に「窯止(かまど)め」を施(ほどこ)さねばならない。 「炭(すみ)」です。 「炭火(すみび)焼き」とか「備長炭(びんちょうたん)使用」とか、あるいはお部屋の消臭剤に「炭と 白…

『図書館の魔女』勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑨

P13 L13 桶の縁(ふち)から中心に向かって収斂(しゅうれん)していった。 「収斂」・・・(「斂(れん)」は縮(ちぢ)む意。)縮まること。 (『新明解国語辞典』(三省堂)) L14 書きあがった親書(しんしょ)をすでに封筒に入れ 「親書」・・・…

P13 L12 手桶をかまどのそばの壁際にそっと置いた。 「かまど」です。 私のイメージだとこんな感じなんですが・・・なんか違うな・・・。 もう少し探してみると・・・ こんな感じでしょうか? もうちょっと室内は薄暗いイメージがしていますが、皆さんは…

『図書館の魔女』勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑧−2

P13 L3 まだ、井戸です。 今は「トトロの井戸」で有名なったポンプ式の井戸ですね。若い年代の方は「井戸」っていうとこちらを連想されるかもしれないので、一応触れておきます。 「ポンプ」式の発祥は、古代エジプトで発明されたなどと諸説ありますが、…

『図書館の魔女』勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑧−2

「滑車(かっしゃ)です 。 古代エジプトのアレクサンドリアで活躍したのギリシア人工学者・数学者ヘロン(紀元10年ころ?〜70年ころ?)が著書の中で、最も基礎的な機械としてあげた5つの「単純機械」の中に「滑車」は入っているそうです。ちなみに、ほか…

『図書館の魔女』勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑧−1

P12 L3 樫(かし)の木陰に井戸があった。 樫は常緑で、葉につやがある温帯でも暖かい地方に多い樹木です。どんぐりのなる種類もあるし、炭焼きに使う種類もあります。豊かな森のイメージがありますよね。 さて、「井戸」です。 こんな感じでしょうか? P…

『図書館の魔女』勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑦

P13 L2 小屋を支える掘立柱(ほったてばしら)をくぐって 「掘立柱」です。 「ほりたて(堀立)の変化した語。地面を掘って、直接に柱の根を埋め、立てること。土台を設けないで、直接に地面を掘り、柱を立て、簡単な家を建てること。ほりこみだて。また…

『図書館の魔女』勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑤−2

P12 L10 「紙」つづき。 ウィキペディアの「紙」の項を見るだけでも嫌になってしまうくらい、紙に関しての書物もどれも長大で、完読できずにいます。その中でオススメを1冊。 『紙の歴史ー文明の礎の二千年』([知の再発見]双書129 著:ピエール−マル…

『図書館の魔女』勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑤

P12 L10 漉いた薄手のしなやかな紙に 「紙」です。 でも「紙」に関しては、日本十進法でも585番台が「パルプ・製紙工業」に当てられているくらいにたくさんの書籍がありますから、ここではちょっと視点を変えた本を紹介することにします。 『紙つなげ…

『図書館の魔女』勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち④

P12 L9 羽根のすり切れた鵞(が)ペンをふるわせながら 鵞ペン 鵞鳥(ガチョウ)の羽の軸の先をするどく削り、そこにインクを含ませて筆記用具として用いたもの。ペン先とペン軸とが一体となったようなもの。1870年ごろ鉄製のペンが発明されるまでは、ペ…

『図書館の魔女』勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち③

P12 L8 老人が蠟燭(ろうそく)の明かりの下で ということで『蝋燭」に引っかかってしまいました。 綿糸などをよりあわせたものを芯にして、芯の周囲に蝋やパラフィンを成型したもののこと。芯に火を灯して灯りなどにして用いる。(ウィキペディア「ろう…

P12 L6 裁付袴(たっつけばかま)の腰紐(こしひも)を絞りながら 「裁付袴」ですか。 「(「たちつけ」(裁着)の変化した語) 裾(すそ)を紐で膝の下にくくりつけ、下部が脚絆(きゃはん)仕立てになっている袴の一種。たっつけ。野袴。(日本国語大辞…

『図書館の魔女』勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち①

P12 L3 粟立ちを生じ 鳥肌がたつこと。寒い季節なんですね。 L5 床の草履(ぞうり)を足で探った。 草履?……イラストが挿入できず、半日過ぎてしまったので、とりあえずイラスト無しでいきます。 草履というのは、足を置く台に「鼻緒(はなお)」がつい…

『図書館の魔女』勉強会

高田大介先生の『図書館の魔女』(講談社 2013)のファンです。 続編の刊行を待つ間、「キリヒト並み」の知識を少しでも埋めようと、勉強することにしました。そして、世の「マツリカ様」方に、「そんなことも知らないのか!」と突っ込んでもらおうとブログ…