『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく⑤-3
P31L6 先生は竹筒に水を満たして栓をすると、三人分をキリヒトの背嚢に持たせた。
「竹」です。
ちょうどこんな感じでしょうか。
タケは「温暖で湿潤な気候」を好む植物だそうで、赤道を中心に、だいたい南緯も北緯も40度付近までに分布しています。「湿潤」も大事なので、同じ緯度でも、アラビア半島から地中海周辺の地域には生息していません。日本でも秋田県や岩手県の北の県境辺りが北限のようです。
この特殊な形の植物を、人は加工することによってさまざまな生活用品として、利用してきました。竹と人との歴史はそれはそれで大変興味深いことですが、脱線が過ぎるので、ここでは「割と南方系の植物」ということを確認しておくだけにします。
かといってキリヒト達の山里に竹が生えているかどうかまではわかりません。昔、どこか他の地域で手に入れたものを、大事に使っているということも考えられます。でも3つある、というところが引っ掛かります。先生のでも、キリヒトのでもない、第三者の分もある。私には、やはりこの山里にタケが生育しているのではないかと思えます。
P31L7 先生自身の荷物は風呂敷(ふろしき)に脚絆(きゃはん)と手拭(てぬぐ)いをいれたぐらいで簡単に用意していた。
「風呂敷」です。
風呂に入る時に、脱いだ衣服を包んだところから「風呂敷」というらしいです。「風呂」って、意外と歴史があるものなのですね。
Wikipedia などのWebでの情報がどれも似たり寄ったりで、Wikiは「出典があきらかでない」とされてしまっていますが、出典はのではこの文章ではないでしょうか。https://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/200210/world
大阪の万博記念公園にある 国立民族学博物館で、2002年10月~2003年1月に特別展『世界の大風呂敷展ー布で包む、ものと心』という展覧会が開催されています。この文章はその解説として、熊倉功夫先生が書かれているもので、図録か何かの文章と思われます。世界の「布で包む」文化について述べられていて、大変興味深いです。
ちなみに、この文章があるのは、「日本の造形」というサイトです。kousin242.sakura.ne.jp/wordpress/
で、「風呂敷(ふろしき)」と言ってしまうと、なんだか日本固有のもののように感じてしまいますが、「ものを布で包んで運ぶ」文化は日本に限ったものではないことがわかります。
一応、「手拭(てぬぐ)い」も。
てぬぐい【手拭(い)】手・顔・からだをふいたりするのに使う薄い日本
風のもめんの布。『新明解国語辞典』
剣道の面をつける時頭に巻く、あの布です。先生は着替えをお持ちにならないのですね。