『図書館の魔女』勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑧−2

「滑車(かっしゃ)です  。f:id:tsuki89ma7ki0:20190518131545j:plain

 

 古代エジプトアレクサンドリアで活躍したのギリシア人工学者・数学者ヘロン(紀元10年ころ?〜70年ころ?)が著書の中で、最も基礎的な機械としてあげた5つの「単純機械」の中に「滑車」は入っているそうです。ちなみに、ほかの4種類は「ねじ」(現在の「ねじくぎ」ではなく「らせんポンプ」のような機械のことだそうです)「くさび」「てこ」「輪軸(わじく)」。つまり、紀元前後にはもう「滑車」は機械として使われていたわけです。

 紀元前1世紀頃、ウィルトウィウスがその著書『建築について』の中で「ウィルトウィウスのクレーン」と呼ばれるものを書いているそうです。クレーンには「滑車」が必要なのです。

 紀元前4世紀頃に活躍したアリストテレスの『機械学』には「滑車」の記述があるそうです。

 それ以前は文献そのものがありません。あとは、遺跡や出土品に描かれたり、浮き彫りにされたものから想像するしかないようです。それによると、有名なエジプトのクフ王のピラミッド(ギザの大ピラミッド)を作った時=紀元前2560年頃=には「滑車」は使われなかったのは確かなようです。

 ただ、エジブトで出土した紀元前2400年頃のものとみられる浮き彫りには、船の帆がたくさんのロープによって支えられている様子が描かれている。これには「滑車」が使われいるのではないか?想像だそうですが。

 こういう「技術」の発達の歴史は、その時代の人々の工夫と経験と格闘の歴史をたどることになるので、勉強している=ネット上をウロウロとするのが主ですが=と楽しいです。上記のことは『コベルコ建友会(社友会)』の「アーカイブ」の中の論文を参考にさせていただきました。

「コベルコ」はあの「神戸製鋼」のことです。「建友会」とは、「神鋼建設機械部門とコベルコ建機(株)およびその関連企業」に規定期間在籍されたことのある方々の親睦・友好をはかる会だそうです。   

 そのサイトに「コベルコ アーカイブ」というバナーボタンがあって、「コベルコ建機の歴史を一まとめにした資料があれば懐かしいものです」という説明とともにまたいくつかのページボタンが出てきます。その中の、

  『クレーン(起重機)の歴史 重いものを動かすことの変遷』(H24年)

と題されたPDFで100ページにもなるレポートを、今回私には大変興味深く読ませていただきました。筆者は河島邦寿さんという方で、長年神鋼建機の建設部門などで実際のクレーン技術者でいらしたようです。「クレーン」という名称の考察、そして古代から現在に至る「クレーン」の歴史。日本での歴史も、絵巻物や屏風絵などを丹念に観察してお書きになっているので、専門用語や計算式を飛ばして読む素人にもわかりやすく書かれています。

 ということで、「滑車」は歴史が長いんだなぁー、が結論です。