『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑬

「キリヒト」について①

P20L13 「この里のもんじゃないもの。先生も、お前も」(黒石)

P21L3  「先生だって、ありゃただの炭焼きじゃない」(黒石)

P22L3  「キリヒトはすぐには戻ってこない。戻ってきた例(ためし)はない」

      (親方)

この二人の言葉からわかるのは、

・「先生」も「キリヒト」もこの村の生まれではないこと。

・村の人々も「先生」と呼んでいること。

・先生も炭焼きの仕事に従事していること。

親方の言葉に含みがあります。「キリヒトは戻ってこない」=この場合の「キリヒト」は、黒石と言葉を交わしたキリヒト本人を指してはいません。「キリヒト」が個人名でない可能性がうかがわれます。そして、そのことを村の人々は知っているのです。

・「キリヒト」が指すのは、複数の人物である可能性があること。

「すぐには」戻ってこない、つまりは長期間不在ではあるけれども「戻ってくる」ことを示します。「例(ためし)がない」ということは、何回もそのことがあって場合に使います。

・「キリヒト」は一度村を出ると長期間不在である。しかし、いずれ戻ってはくる。

ということでしょうか。文庫版第二巻ではもう少し詳しいことがわかります。

 

P23L15 やがて立ち上がると午前の日課の締めくくりである体操を始めた。

「体操」が気になってしまうんです。

P24L1  なんの変哲のもない素朴と言ってもよいような動作だが、これらを止まった虫が逃げ出しもしないようなゆっくりとした動きで、じっとしているとしか見えないような緩慢な所作(しょさ)で続けていく。

ゆっくりとした動きというと、すぐ太極拳が思い浮かびますが、ちょっと違う気がします。単に作者の創作なのか、元ネタがあるのか、ここは全くわかりません。どんな分野にもお詳しい方がいらっしゃるので、どなたかそういう方に教えていただきたいです。

そもそもこのブログを始めたのはそういう気持ちにあります。『図書館の魔女』を読んでいると、知らないことがたくさん出てきて、だれか脚注のように教えてほしいと思い、人に聞く前に自分でわかる範囲は調べてみよう、そのうえでどなたか教えてください!と思ったのがきっかけです。

ただ、初めてみるとあれもこれも知らないことばかり。そのうえ、調べていくとだんだん面白くなってきて全然前に進まない、という状況で今に至ります。

でもそれにはもう少し世間に広める手段を講じる必要がありますが、せめて第一巻を終えるくらいに形を整えてから、と考えています。前途は果てしないですが・・・。