2020-01-01から1年間の記事一覧

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅたったつのときはちかづく⑧

P32L3 一の谷からこの里まで健脚をほこるものでも丸(まる)四日、早足が自慢の伝令使(でんれいし)でも優(ゆう)にあしかけ三日は要する行程だ。 けんきゃく【健脚】(その年齢の普通の人より)足の力が強く、よく歩けること(様子)。「-を誇る/-…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅたったつのときはちかづく⑦

P31L14 キリヒトの背にひと包みの背嚢(はいのう)、先生には襷(たすき)にかけた風呂敷(ふろしき) ここは「襷(たすき)」です。 「たすき」と聞いて思い浮かべるのは、箱根駅伝の「たすき」でしょうか。あるいは、選挙の時、候補者が自分の名前を太…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく⑥-2

P31L10 自分用には柄のところが太く膨らみ、体重をあずけるのに向いている櫟(いちい)の根を削り出したものを選んでいた。 えー、「櫟(いちい)」の謎の寄り道です。 奈良女子大学大学院人間文化研究科の文化史総合演習成果報告というHPで公開されてい…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく⑥-1

P31L10 自分用には柄のところが太く膨らみ、体重をあずけるのに向いている櫟(いちい)の根を削り出したものを選んでいた。 えー、「櫟(いちい)」です。はじめは「根を削り出したもの」というところに引っかかったのです。竹の根=地下茎ですね=を使…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく⑤-3

P31L6 先生は竹筒に水を満たして栓をすると、三人分をキリヒトの背嚢に持たせた。 「竹」です。 ちょうどこんな感じでしょうか。 タケは「温暖で湿潤な気候」を好む植物だそうで、赤道を中心に、だいたい南緯も北緯も40度付近までに分布しています。「…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく⑤-2

P31L4 キリヒトはすでに昨晩から用意してあった背嚢(はいのう)に、着替えと僅(わず)かな生活の道具と・・・ 引き続き「背嚢(はいのう)」です。さて、キリヒトが背負ったのはどんな形のものだったのでしょうか?「背嚢」で図像検索をすると、軍隊で…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく⑤-1

P31L4 キリヒトはすでに昨晩から用意してあった背嚢(はいのう)に、着替えと僅(わず)かな生活の道具と・・・ 「背嚢(はいのう)」です。嚢(のう)は「袋(ふくろ)」、つまり「背負う袋」ということです。そうか、リュックサックだ! 何か、ちがう、…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく④

P29L16 「タイキ様は息災(そくさい)でいらっしゃいますか」 先生の言葉です。 そくさい【息災】(「息」はやめる意)①(仏教で)災難を防ぐこと。②無事なこと。『新明解国語辞典』 「おげんきですか?」ということですね。「息」に関してもう少し詳し…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく③

P28L13 「王宮、図書館付きのロワンと申します」 ロワンの名乗りです。しかし、この直後P28L16では「王宮付きの役人」と書かれ、巻頭にある「主要登場人物」には「図書館付きの役人」となっています。 この国の組織がどうなっているのまでは知りよう…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく②

P27L16~ 少年の後ろに結(ゆ)った黒髪にはやや癖があって後(おく)れ毛がうなじに巻いている。よく日に焼けた黄褐色(おうかっしょく)の肌に艶(つや)があり、丸い額(ひたい)が張り出して賢(かしこ)そうだった。眉間(みけん)の広くひらけた額…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく①-2

P26L10 ほどなく膝まである黒いローブを胸元(むなもと)にかき合わせた背の高い四十(しじゅう)がらみの男が、脚絆(きゃはん)をつけた革(かわ)の長靴(ちょうか)で・・・ 「脚絆(きゃはん)」です。 旅行や作業などのとき、脛(すね)にまとい、…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく①-1

P26L10 ほどなく膝まである黒いローブを胸元(むなもと)にかき合わせた背の高い四十(しじゅう)がらみの男が、脚絆(きゃはん)をつけた革(かわ)の長靴(ちょうか)で・・・ この山里から峠をこえた所に「一の谷(いちのたに)」という都市があるこ…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑬

「キリヒト」について① P20L13 「この里のもんじゃないもの。先生も、お前も」(黒石) P21L3 「先生だって、ありゃただの炭焼きじゃない」(黒石) P22L3 「キリヒトはすぐには戻ってこない。戻ってきた例(ためし)はない」 (親方) この二人の…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑫

P17L14 まだ若いのに世に知られるこの鍛冶場(かじば)の二番鎚(にばんづち)をつとめる「黒石(くろいし)」は、 まず「黒石」です。 全編中でこの冒頭の部分でしか登場しません。そういう扱いをされているのは「黒石」と、装丁職人として名前だけが出…

『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 1やまざとでのさいごのいちにち⑪

P16 L7 だがこの炭は窯を預かる交代の炭焼きに託していく。 L13 ここ山の里では、古から山賤(やまがつ)として知られる民が、ながらく鉄と石と炎をめぐる生業(なりわい)を営(いとな)んでいる。 キリヒトは単独で炭焼きをしているのではないようで…