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 L6 裁付袴(たっつけばかま)の腰紐(こしひも)を絞りながら

 「裁付袴」ですか。

 「(「たちつけ」(裁着)の変化した語) 裾(すそ)を紐で膝の下にくくりつけ、下部が脚絆(きゃはん)仕立てになっている袴の一種。たっつけ。野袴。(日本国語大辞典小学館)」・・この辞書、重くて手首が痛くなってくるんですよね。用例が歌舞伎からの採録になっているので、江戸時代ぐらいの言葉でしょうか。

 デジタル大辞泉の「たっつけばかま」の項では、「袴の一つ。ひざから下を細くし、下部を脚絆のように仕立てたもの。もと多く武士の旅行用、のちに行商人、農民仕事着として用いた。現在は相撲の呼び出しが用いている。伊賀袴。

 そうです!お相撲の呼び出しさんが来てるヤツ。あれが「たっつけばかま」なんですね。   

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 にしても、ネットで検索して驚いたのは「たっつけ袴がほしい!」とか「たっつけばかまを作ろう」、さらには通販の商品一覧とか。忍者の装束や最近では刀剣男子のコスプレに皆さんたっつけばかまを楽しんでおいでようです。

 上記『大辞泉』の最後の「伊賀袴」。

 手持ちの『日本国語大辞典』によると、「袴の一種。裾(すそ)を狭くして脛(すね)に当たる上下に紐をつけて脚絆(きゃはん)のようにしたもの。仕事着や旅行着などとして伊賀者が用いたところからの名といわれる。たちつけ。かるさんばかま」とあります。こちらには『日葡(にっぽ)辞書』の「Igabacama 〈訳〉きつくて細い袴で足袋のところまであるもの」という用例が出ています。

 『日葡(にっぽ)辞書』というのは、1603~1604年に長崎で発行されたポルトガル語の日本語辞書です。当時、日本で布教活動をしていたイエズス会が編集しました。3万2千語あまりの日本語が、アルファベット順に記載されポルトガル語で意味が説明されていて、室町〜安土桃山時代中世日本語の「第一級の歴史的・文化的・言語学的資料 (ウィキペディア)」とされています。

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 確かに、忍者装束ですね。

 あれ?あの「ニッカボッカ」は?あれはどこから来ているんでしょう?

 前出の『日本国語大辞典』では「ニッカー・ボッカー」となっていますが、そこに記載されている英語は knickerbockers ですから「ニッカー・ボッカーズ」が正しいのでしょう。「ひざ下ですそをベルトで締め、ゆったりと仕立てたもの。ニッカー」という説明です。ウィキペディアにはその起源の説明があります。

ニッカーボッカーズの起源は、オランダからアメリカへの移民が着用していたブリーチズと呼ばれる短ズボンである。

1809年ワシントン・アーヴィングが『ニューヨークの歴史』というニューヨーク(旧ニューアムステルダム)に住むオランダ人移民者についての本を著した。この時、アーヴィングはオランダ系の名前であるディートリヒ・ニッカーボッカー (Diedrich Knickerbocker) というペンネームを用いた。この本が人気を博してくると、次第にニューヨークのソーシャライトを形成したオランダ人移民とその子孫のことを"ニッカーボッカー"と呼ぶようになり、さらに本の挿絵で彼らが穿いていた短ズボンがニッカーボッカーズという名前で呼ばれるようになった。

現在でも英語でKnickerbockerというとオランダ人移民のことを指す。

 ふーん。でも、『ジーニアス第4版』の knickerbocker の項でも「W.Irving が History of New York で使った筆名より」と由来が示されていますね。へ〜え。

 日本では建築現場の作業をされる方などが着てらしたと思うのですが、今はそれも少なくなっているようです。

 えー、「裁付袴」でした。

 キリヒトは裁付袴をはいているんですね。ふーん。