『図書館の魔女』の勉強会 第一巻 2しゅったつのときはちかづく③

P28L13 「王宮、図書館付きのロワンと申します」

ロワンの名乗りです。しかし、この直後P28L16では「王宮付きの役人」と書かれ、巻頭にある「主要登場人物」には「図書館付きの役人」となっています。

この国の組織がどうなっているのまでは知りようがありません。ただ、ある程度の高い階級の人物だと想像できるのは、いくつかの材料があるからです。

P29L8 「あなたが直々(じきじき)に来られるとは」

と「先生」がいいます。王宮から迎えが来ることにはなっていたがまさか、ロワン自身がこの山中まで来るとは思っていなかった、ということですよね。「一の谷からこの里まで健脚(けんきゃく)=(その年齢の普通の人より)足の力が強く、よく歩けること=をほこるものでも丸四日」歩いて来なければならないので、他の部下のような立場の人が来るものと「先生」は思っていたのです。

そこにはある「情報管制」とでもいうべき事情があったのですが、それは後の話。

ロワンについては後の巻で、もう少し触れられています。

第二巻P336L8(マツリカの言葉)ロワンは以前には図書館付きだった

        が、今は王宮の高官の間でも文官あがりでは一番上の地

        位にある一人だからね。

      L14ロワンは杣道(そまみち)=山道=を一人で旅すること

        が許されるような立場じゃないよ。

第三巻P208L4「ロワン?参事官殿のことかい?」

「文官(ぶんかん)」とは

ぶんかん【文官】行政や司法など、軍事以外の仕事をする公務員(役職)

        ⇔武官(ぶかん)       『新明解国語辞典

 「参事官(さんじかん)」は、その組織によって違うようです。

国家機関や外交使節団、国際機関等において、所属する組織の事務に参与する役職のこと。その職務や職責の内容は、参事官の職が設置される組織ごとの事情によってさまざまである。(Wikipedia

 ちなみに「主要登場人物」一覧では、特任大使となるサルキシャンが「参事官」と明記されています。

「王宮の高官の間でも」「一番上の地位にある」人にしては、物腰が丁寧ですね。

P30L13 キリヒトは、無駄を言わない先生の流儀に、今日はじめてみるこのロワンという役人がまったく当然のように従っているところを見て、二人が旧知の間柄(=昔からの知り合い)であることを確信した。

のわりに、先生とロワンの会話は二人とも大変丁寧な言葉づかいをしています。また、ロワンは少年であるキリヒトに対しても、先生に対するのとほぼ同様の態度で接しています。これはロワン自身の人柄なんでしょうか?それとも「キリヒト」に対する敬意なのでしょうか?それはよくわかりません。